2024年11月18日月曜日

#21 「環境問題について楽しく学ぶ施設」 りっくる <まつやまRe・再来館(りさいくるかん)>

「コスモ アースコンシャスアクト 未来へのトビラ」

 地元愛媛で豊かな自然環境を守ろうと環境保全活動に取り組んでいらっしゃる方々に、その活動や想いを伺っていきます。

今回お話を伺ったのは、松山市役所 環境部 環境モデル都市推進課 りっくる<まつやまRe・再来館(りさいくるかん)> 主査 中村 優理子さんです。


りっくる<まつやまRe・再来館(りさいくるかん)

『まつやまリサイクル館』は「Re・再び来る館」と書いて、Re・再来館です。たくさんの方に何度も来ていただきたいという思いを込めて名付けられたと聞いています。環境について、3Rや地球温暖化、自然など、様々な環境問題について楽しく学ぶ施設となっています。建物自体も環境に優しく、太陽光発電で生成した電力をためる蓄電池、そして、トイレなどには雨水を利用しています。

そのほかにも、『フリーマーケット』などの楽しいイベントや割れたお皿をお直しして大事に使う『金継ぎ講座』もあります。あとは粗大ごみの中からまだ使えるものをお直しして販売するリユース家具販売もあります。そして、『リックル』の入口には、いろいろな回収ボックスを置いており、例えば牛乳パックや蓄電池、インクカートリッジなどの回収をしています。その他に、古着や着物の帯、小型家電、絵本、包装紙、木のおもちゃなども回収しています。リサイクルするために集めているものや、館内で使わせてもらうものもありますので、ぜひ持ってきていただければと思います。

 


未来の海、魚釣りゲーム

今、海のプラスチック問題が世界的な課題となっています。このままだと2050年には海の魚の量よりもプラスチックごみの方が多くなると言われています。それを私たちが手作りで再現した釣りゲームを用意しています。この釣りゲームは、プラスチックだらけの海の中に魚がいます。魚を釣るためにはプラスチックごみを避ける必要があります。
釣り方は様々で、プラスチックゴミも一緒に釣り上げる子もいますが、ビーチクリーンをしてから釣りをする子どもさんもいます。このように、実際に楽しむ体験型の環境学習施設というのをコンセプトにして、いろいろと楽しんでいただいています。


 

まつやまRe・再来館 北棟探検!

渡り廊下を渡ると『北棟』があります。ちょっと奥になっているので、なかなか気づきにくいのですが、『北棟』も様々なことをしています。例えば、りっくるで集めた牛乳パックを加工して、紙製品の便箋やはがき、かわいい紙の小物に作り替えて販売している『紙漉き工房』さんや、入口で集めた着物や帯をリメイクしてかわいい小物やバッグやお洋服にして販売している『リメイク工房』さんがあります。そして、研修室は、ほぼ毎日3時半から5時50分まで、この時間は自習室として開放しています。

火曜日は休館日で閉まっていますが、その日以外はほぼ空いていますので、ぜひお気軽にお越しください。


まつやまRe・再来館(りさいくるかん、愛称:りっくる)
https://www.rikkuru.jp/


2024年11月11日月曜日

#20 「もったいない食料をおもいやり食料へ」eワーク愛媛“えひめフードバンク愛顔”

 「コスモ アースコンシャスアクト 未来へのトビラ」

 地元愛媛で豊かな自然環境を守ろうと環境保全活動に取り組んでいらっしゃる方々に、その活動や想いを伺っていきます。

先週に続いて、特定非営利活動法人eワーク愛媛の難波江 任さんにお話を伺います。


事業系の食品ロスと家庭からの食品ロス

日本国内で発生している食品ロスは、事業系の食品ロスと、もう1つは家庭から出る食品ロスです。事業系の食品ロスの方が多いと思われる方が多いのですが、両方とも大体同じくらいの量で、家庭から出る食品ロスは、思っているよりとても多いです。家庭からの食品ロスを削減するためには、私たち消費者1人1人の心がけがとても大切です。事業系の食品ロスは、構造的になくすことができますが、家庭の食品ロス問題は、もっともっと難しい問題があるかもしれません。



食品ロスを出さないために心がけること

買ったものは、全部食べるというシンプルなことが大切だと思います。いろいろな原因があると思いますが、買いすぎや作りすぎから食べ残しが出てしまうこともあります。だから、必要な分だけ買って、食べる分だけ作ることが大切です。そして、作り置きをするのであれば、冷凍しておくことも有効です。あと、冷蔵庫の中を週に1回は整理して、古いものから食べていこうという心がけなど、もったいないことをしないような心がけができればいいと思います。とはいえ、どうしても食材が余ってしまうこともあります。安売りで買いすぎたものや、お中元などでたくさんもらって食べきれないというものもあると思います。そういう場合には、今の愛媛県内には105カ所のスーパーなどに常設型のフードドライブのボックスがあります。そのボックスに食べきれない食品を入れていただくと、私たちがそれを回収して、福祉施設やこども食堂で使ったり、シングルマザーの生活の糧になったりします。





フードドライブのボックスに入れられるもの

お米は大丈夫ですが、生の魚や生のお肉など生ものはダメです。焼いて食べきれないお肉や八宝菜を作りすぎたとか、調理済みのものもダメです。月に2回ぐらいのペースで回収に行くので、生ものなどは、その間に腐ってしまいます。未開封で賞味期限表示があり、賞味期限が最低1カ月程度あるもの、普通に流通しているものであれば問題ないです。

わからないことがあれば「えひめフードバンク愛顔」まで連絡ください。

https://ehime-foodbank.com/




これから伝えていきたいこと

食べることに困難を抱えている人たち、食べるのが苦しい人たちはたくさんいらっしゃいます。一方で食べ物が余っているという現状もずっと続いています。そのギャップを埋めていくために大切なのは、思いやりだと思っています。「もったいない気持ち」を、「おもいやりの気持ち」に変えましょうと伝えています。
「3R(スリーアール)」リユース、リデュース、リサイクルといいますが、もったいないを伝えるときには、「4R(フォーアール)」を「よんアール」と、お伝えしています。もう1つのRは何かというと、リスペクトのRです。「世の中の物には無駄はなにもないんですよ。」「人の役に立つためにいろんなものがありますよ。」ということです。

ワンガリ・マータイさんというノーベル平和賞を受賞された方で、生前、日本に来た時に「もったいない」という言葉を聞いて、これは世界中で、使わなきゃいけないということで、広めてくれました。それが、4Rに通ずることだと思います。





特定非営利活動法人eワーク愛媛ホームページ

https://eworkehime.kojyuro.com/foodbank.html


2024年11月4日月曜日

#19 「フードバンク活動」eワーク愛媛“えひめフードバンク愛顔”

 「コスモ アースコンシャスアクト 未来へのトビラ」

 地元愛媛で豊かな自然環境を守ろうと環境保全活動に取り組んでいらっしゃる方々に、その活動や想いを伺っていきます。

今回お話を伺ったのは、特定非営利活動法人eワーク愛媛の難波江 任さんです。


特定非営利活動法人eワーク愛媛

私たちは、フードバンク活動と若者の自立支援活動をメインにやっています。もともと引きこもりの方やニートの方の自立支援をやっていましたが、今では、フードバンク活動がもう1つの柱になってきています。
その活動と並行して『アフターケア』という、社会的養護の自立援助ホームや児童養護施設から自立しようとする人たちを支援する活動も始まっています。


食品ロス ~ 食べることができるけれども、捨てられているもの~

先日、『農水省』が発表していた数字で、2030年までにSDGsで、世界の食品ロスを半減しましょうという目標があります。その中で、日本は980万トンを半減して490万トンにしましょうという目標を立てていました。その結果は、472万トンで達成されていますが、472万トンもの食品ロスが国内で出ているということです。食べることができるけれども、捨てられているものです。

令和2年に愛媛県が推計しているのが5.1万トンの食品ロスが出ています。それを減らしていきましょうという「愛媛県食品ロス推進計画」を立てて取り組んでいます。私たちのフードバンクの活動もその一条になると思います。


主なフードバンクの活動

フードバンクは、食品流通の中で流通できなくなった食料を食品関連の事業者さんからいただいて、それを社会的な事業で活用するという事業です。生産者さんも含まれる食品流通で、農家さんだと野菜などもそうです。選果場などで出るもの、お菓子やレトルト食品を作っている工場、それを売る小売店など、いろいろなところで食品ロスは出ています。

そういうところから、未利用食料をいただいてきて社会的事業として、こども食堂や社会的養護事業者、自立援助ホームや児童養護施設などに使われています。

あと、留学生やシングルマザーの方で、コロナ以降に生活が苦しくなった方もいますので、そういう方たちのために使わせていただいています。



CO2の発生量は食品由来の発生が多い

今の国内のCO2の発生量は、食品由来の発生が多いと言われていて、食品を加工や運送など、いろんなところでCO2が出ていると思います。ご飯を炊くことやカレーを作るにも火を使うからCO2が出ます。荷物を運ぶにもガソリンを使いますからCO2は出ます。いろんなところでCO2を排出しながら、食べるものを加工したり、運んだりしています。食べなかったものや捨てられたものは、生ゴミになってしまいます。その生ごみを処理するとなると、焼却処分したり、動物の飼料にしたり、家畜の飼料にしたり、また肥料にしてリサイクルする場合もありますが、その時にもやっぱり熱を使いますから、結局CO2が出てしまうということになります。



特定非営利活動法人eワーク愛媛ホームページ

2024年10月28日月曜日

#18 「子どもたちのアイデアで生まれる、世界にひとつの紙」 社会福祉法人エリム会

 「コスモ アースコンシャスアクト 未来へのトビラ」

 地元愛媛で豊かな自然環境を守ろうと環境保全活動に取り組んでいらっしゃる方々に、その活動や想いを伺っていきます。

今回は、社会福祉法人エリム会 えりむ児童クラブ園長の桑波田みか先生とさくらんぼクラブの皆さんです。

 

捨ててしまうもので紙作り

保育園で牛乳パックがたくさん出るので、その牛乳パックを使って、紙を作ります。
牛乳パックをお鍋に入るぐらいの大きさにして少し煮ると水を吸い込み、表と裏にあるプラスチックの層を剝ぐことができます。子どもたちがうまく剥いで紙だけにしたものをミキサーに入れます。そして子どもたちが思いつく色や匂いのものなど、何を入れたいかは、子どもたちのアイデアをそのまま使って色々な紙を作っています。

最初は給食室から出た人参の皮でやってみたらとっても綺麗なオレンジ色になりました。園庭にあるナツメヤシの幹の皮では茶色の紙ができました。子どもたちがトマトで作りたいって言ったらトマト。スイカで作りたいって言ったらスイカ。紫の紙が作りたいからナスを入れたらどうだろうって、子どもが言ったからナスの皮を入れて作ったりもしました。

私たちが紙を作る係ですが、他の先生たちも工作を一緒にしてくれて、バラの花を作ったり色々と工作をしていて、それがもう本当に素敵なんです。

いらないと思うものでも大事にすれば、とても素敵なものになるということを感じてもらいたいなと思っています。

 


 

さくらんぼクラブの皆さんの声

◆和紙作りネームタグを作るのはどんなところが楽しい?

・素敵な色を作るのが楽しい。

・ナスとかスイカの皮とかいらないゴミで作っている。

・赤じそは最初はミキサーにかけてみたけど、塩で揉んだり、煮たりしても赤くなった。




◆いま作っているもの

・いろんな要らないものをミキサーに入れて紙を作ってる。

・紙から名札とかネームプレートとか作った。

・ネームプレートがめちゃめちゃ人気になったから、それを作って欲しいとか、紙が欲しいとかいろんな場所から情報が来る。

 

◆普段の生活で見方が変わったところ

・最初は作るのが楽しいじゃなくて普通にやっていたけど、
 今はみんなでできるし実験も楽しいから今は楽しくなってる。

・毎月、京都とか大阪から依頼がたくさん来るので、丁寧に作って、それを受け取ってくれた人が喜んでくれたら、それでまた楽しいなって思う。

 

◆これから作ってみたいもの・いま頑張って作っているもの

・ネームプレートをみんなのために頑張って作っている。

・クリスマスマーケットから売って欲しいものがあるから、それを考えてみんなが作りたいものを作っていきたいなって思う。

・クリスマスマーケットに出すものだったら、緑色の紙でクリスマスツリーを作る。

・今は赤じそでピンク色の紙を作れるようになった。青色を作ろうと思ったら緑色になったから、今度は青色になるように頑張ります。

・いろいろな色でバッグとかを作ってみたいです。



 

社会福祉法人エリム会のHP

https://sakura-erimu.com/

2024年10月21日月曜日

#17 「子どもたちの「やってみよう!」が未来を変える」 社会福祉法人エリム会

「コスモ アースコンシャスアクト 未来へのトビラ」

 地元愛媛で豊かな自然環境を守ろうと環境保全活動に取り組んでいらっしゃる方々に、
その活動や想いを伺っていきます。

 今回お話を伺ったのは、社会福祉法人エリム会理事長の池内悟さんです。

 

えりむ児童クラブさくらんぼの活動

私たちは児童福祉施設ということで、子どもたちがSDGsに興味を持ち、関心を寄せられるような心を育んでいく取り組みをメインとしています。

ゴミをリサイクルあるいはアップサイクルし、商品に付加価値をつけて、
それを自分たちあるいは地域の皆さんに還元できるような取り組みを
子どもたちと一緒に活動していくということが非常に大切だと感じています。子どもたちの様々な考えや思いつきを大切にしながら「失敗してもいいよ」「とりあえずやってみようよ」という関わりをしています。



始まりは、海のゴミ拾いから

児童クラブの近くには海があり、すぐ横にプールもあります。
夏休みに児童クラブの小学生とそこへ出向いた帰り道、

「先生、ゴミを拾って帰ろう!」という声が子どもたちから上がりました。

そのあと、持ち帰ったゴミを分類していく中で、
まずは、プラスチックゴミについて勉強をして、子どもたちのリサイクルあるいはアップサイクル活動、そこからゴミの問題を考えていこうというのが活動の始まりでした。

 

排出されるゴミで、何かできないかな?

児童クラブや保育園からたくさん排出されるプラスチックゴミやペットボトルを使って、
船を作ってみたいということで、子どもたちが夏休みの間に1ヶ月ぐらいかけていかだのような船を作りました。
その船は、みんなで実際に保育園のプールで浮かべさせました。


ネームタグの製作

子どもたちのアイデアが主体になっているネームタグの素材は、牛乳パックと保育園の園庭で収穫したお野菜あるいは果物の皮や食べ残しなど、今までは捨てていたものなどを混ぜて和紙作りをしています。いろいろな失敗もたくさんありますが、子どもたちと一緒に「これいいね」「これはもうちょっとこうだね」と話をしながら活動しています。

昨年、愛媛大学の先生からこれで名札作ったら面白いよね!と言っていただき、200枚近いネームタグ作らせていただきました。それが県外のたくさんの先生方のお目にかかったようで、今年も受注をいただきました。学会等で使っていただけたことは、とても有難く、何よりも子どもたちがすごく自信を持ったことが、今の活動に繋がっていることは嬉しいです。

 


 

活動を始めての子どもたちの変化

何事に対しても最初から諦めるのではなく、「これは、どうなのだろう?」「こうすればどうなるのかな?」などの「考えてみる」「やってみる」ということが「非認知的能力」という、子どもたちの心を育てていくことに結びついているのかもしれないと非常に嬉しく感じています。

 

守っていきたいもの

今の日本は本当に豊かです。この比較的安全な国をみんなの幸せのためにとにかく将来永続的に未来を築くために守っていきたいと思っています。そのためには、自分の心を豊かに育てていくということが大切だと感じています。それは命を大切にするということにも繋がると思います。私たち日本人にとって本当に宝となる子どもたちですから、何事も諦めずに、くじけずに、しんどくなったら大人が助けてくれるよ。というそのような日本にしていけたらいいなと考えています。

 


社会福祉法人エリム会HP

https://sakura-erimu.com/